同じ困難に直面しても、ピンチをチャンスに変えて障壁を乗り越える人もいれば、不安や緊張に負けて心底落ち込んでしまう人もいる。不遇な幼少期を送った人が不幸になるかというと必ずしもそうではなく、その後の人生で見事に成功した人も沢山いる。こうした逆境への反応(行動)の違いはどこから来るものなのだろうか?近年の研究では、レジリエンスに起因することが徐々に明らかになってきた。
<POINT>
・レジリエンスは「回復力」「復元力」「再起力」または「弾力性」を意味する
・元々は工学や物理学の世界で使われていた概念
・その後「精神的回復力や自然的治癒力」として心理学にも使われるように
・レジリエンスは誰しもが持っている
・高める為に必要な要素を「レジリエンス・コンピテンシー」と呼ぶ
レジリエンスの源流
レジリエンスは「回復力」「復元力」「再起力」または「弾力性」とも訳され、ストレスなどの外的な刺激に対する柔軟性を表す言葉。なにかとストレスが多い現代社会の中で、レジリエンスは心身ともに健康を保ち、仕事で成果を出すために必要な要素として注目されている。
レジリエンスは元々、工学や物理学の世界で使われていた概念。物質や物体に対して外力が加わると変形する。そのときにどれくらいその力を吸収できることができるか?、また、どれくらいその力を取り除いて元の形に戻ろうとすることができるか?。この一連の動きに関係するのが、物質や物体の持つ「レジリエンス」。
その後、レジリエンスは自然や動物の生態環境学や、人間の社会環境システム、そして心理学でも使われる言葉となった。経済的なレジリエンス、都市国家のレジリエンス、心理学的レジリエンスなど。
いずれの分野においてもレジリエンスは、変形から元の形に戻ろうとする「弾力性」、変化や変動に対する反応としての「復元力」や「回復力」という意味で使われている。
レジリエンスは元々、工学や物理学の世界で使われていた概念。物質や物体に対して外力が加わると変形する。そのときにどれくらいその力を吸収できることができるか?、また、どれくらいその力を取り除いて元の形に戻ろうとすることができるか?。この一連の動きに関係するのが、物質や物体の持つ「レジリエンス」。
その後、レジリエンスは自然や動物の生態環境学や、人間の社会環境システム、そして心理学でも使われる言葉となった。経済的なレジリエンス、都市国家のレジリエンス、心理学的レジリエンスなど。
いずれの分野においてもレジリエンスは、変形から元の形に戻ろうとする「弾力性」、変化や変動に対する反応としての「復元力」や「回復力」という意味で使われている。
心理学的レジリエンス
心理的レジリエンス(psychological resilience)については、実のところ一貫した定義がない。アメリカのシンクタンク「ランド研究所」によると、レジリエンスの定義は122個あるとも言われている。しかしながら、その中で最も広く使われている定義では、「逆境に対する反応としての精神的回復力や自然的治癒力」「ストレスや逆境にさらされても、適応し、自分の目標を達成するために再起する力」とされている。
ターニングポイント
当初、レジリエンスの研究は逆境体験や精神疾患といったネガティブな出来事(危険因子)が人生に及ぼす悪影響に注目されていた。しかし、その後、健常な成人を対象としたレジリエンス研究が始められた。それがハーバード大学医学部によって1938年から続けている「発達に関するハーバード研究(通称「グラント研究」)」。
グラント研究で対象となったハーバード大学の学生達の中から、その後の人生において、心身共に健全な状態で長生きした者、仕事で成功を収めた者など特定していったところ、健常者や成功者には、いずれも高いレジリエンスが確認された。この研究をきっかけに、以前のようにネガティブな出来事の影響を研究するのではなく、レジリエンスがもたらすポジティブな影響や、レジリエンスを高める方法へと研究内容が移行して行った。
グラント研究で対象となったハーバード大学の学生達の中から、その後の人生において、心身共に健全な状態で長生きした者、仕事で成功を収めた者など特定していったところ、健常者や成功者には、いずれも高いレジリエンスが確認された。この研究をきっかけに、以前のようにネガティブな出来事の影響を研究するのではなく、レジリエンスがもたらすポジティブな影響や、レジリエンスを高める方法へと研究内容が移行して行った。
レジリエンスの効果
レジリエンスを高めることで生まれる具体的な効果には以下のものがある。
・ストレスをコントロールできるようになる
・集中力や活力の向上
・仕事のパフォーマンスを高める
・創造的、かつ包括的に問題解決ができる
・リスクへの適応能力を高める
・相手の拒否反応やネガティブな事柄に自然に対処できる
・問題行動が減少する(子供や若者の場合)
レジリエンスを高める6つのコンピテンシー
では、実際にレジリエンスを高めるためにはどんな要素が必要なのだろうか?
まず認識しなければならないのは「レジリエンスは何か特別なものではなく、誰もが持っているもの」ということ。そして、「レジリエンスの高低によって、『できる』『できない』が直接的に変わるわけではない」ということ。
レジリエンスを高めるために必要な能力というのは、私たちのものの考え方やその特徴、感情ならびに行動に対する認識や理解、そして、感じ方や振る舞い方のコントロールなどを含めた、より総合的で複合的な能力で、これらの能力をひとまとめに「レジリエンス・コンピテンシー」と呼ぶ。
レジリエンスは、単なる技術やスキルではなく、マインドにも大きく関わるものであり、このレジリエンス・コンピテンシーを養成することで高めることができるとされている。
まず認識しなければならないのは「レジリエンスは何か特別なものではなく、誰もが持っているもの」ということ。そして、「レジリエンスの高低によって、『できる』『できない』が直接的に変わるわけではない」ということ。
レジリエンスを高めるために必要な能力というのは、私たちのものの考え方やその特徴、感情ならびに行動に対する認識や理解、そして、感じ方や振る舞い方のコントロールなどを含めた、より総合的で複合的な能力で、これらの能力をひとまとめに「レジリエンス・コンピテンシー」と呼ぶ。
レジリエンスは、単なる技術やスキルではなく、マインドにも大きく関わるものであり、このレジリエンス・コンピテンシーを養成することで高めることができるとされている。
【自己の気づき】
自己の思考、感情、行動、生理的反応に注意を払う能力
自己の思考、感情、行動、生理的反応に注意を払う能力
【自己のコントロール】
望ましい結果を得られるよう、自分の思考、感情、行動、生理的状態を変化させられる能力
望ましい結果を得られるよう、自分の思考、感情、行動、生理的状態を変化させられる能力
【現実的楽観性】
ポジティブなことに気付き、期待し、自力でコントロールできるものにフォーカスし、目的を持った行動を起こせる能力
ポジティブなことに気付き、期待し、自力でコントロールできるものにフォーカスし、目的を持った行動を起こせる能力
【精神的柔軟性】
状況を多角的に見て、想像的かつ柔軟に考えられる能力
状況を多角的に見て、想像的かつ柔軟に考えられる能力
【キャラクター・ストレングス】
最高の強みを活用して、自分の能力を最大限発揮し、困難に打ち勝ち、自分の価値観にあった人生を想像する能力
最高の強みを活用して、自分の能力を最大限発揮し、困難に打ち勝ち、自分の価値観にあった人生を想像する能力
【関係性の力】
強い信頼関係を気付き、維持する能力
強い信頼関係を気付き、維持する能力